介護士にとって、国家資格である介護福祉士はひとつのボーダーラインのようなもの。介護福祉士の試験をクリアした後には、次のキャリアップをどう図ればよいのかと模索している人もいることでしょう。

そんな中、2011年に厚生労働省によって制定された育成システム「認定介護福祉士」が、介護福祉士の次なるステップアップとして注目を集めています。認定介護福祉士とは、高度な知識と技術を持って質の高い介護サービスを提供し、介護職員を統率するリーダーシップを図り、その他の職種や地域の行政と円滑なコミュニケーションを図ることが求められます。

認定介護福祉士になるためには、定められた研修を受ける必要があり、大学や介護福祉養成校、その他事業者団体で実施されます。研修には二種類あり、「認定介護福祉士養成研修1類(計280時間程度)」と「認定介護福祉士養成研修2類(計170時間程度)」からなっていますが、介護現場で多忙を極める介護福祉士がどれだけこの研修を受講できるのかが疑問視されています。

そしてその先駆けとして設置されたのが「認定社会福祉士」。2014年の登録者数は約19万人という結果がでていますが、その中でも認定社会福祉士はたったの178名しか誕生していません。2015年の時点では220名が登録されたと報告されています。こうした現状から、まだまだ問題点が多くあることが見て取れます。

介護福祉士の中では、認定介護福祉士を取得したところで何かメリットがあるのかという声が上がっているようです。この資格を取得することがキャリアアップにつながり、賃金や待遇が改善されるような仕組みを作るために、今後ますます国・行政・介護事業者が連携して円滑に環境整備を進めることが求められています。